職業に貴賎はなくても賃金格差はあるし、下位が食えるという保証もない

それは困難なプロセスではある。実力だけではなく運も必要だ。しかし、金はその過程で手に入れればよいのであって、はじめから持っている必要はないのである。堀江もそうであったし私もそうであった。

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50980489.html

dankogaiさんの成功物語自体は素晴らしい話だけど、それを社会全体に適用したらいけないと思う。賃金体系がピラミッド状になっているとして、底辺から頂点に登れるから構わない、ではなくて、ピラミッドの底辺自体が沈んで窒息しそうだ、というのが問題なわけ(略)

人の役に立たない仕事はない。

これは奇麗事ではない。労働は対価を伴うが、必ずその対価を払う他者がおり*2、もちろん金を無駄にしたくないから、役に立つことに金を払う。だから、人の役に立たない仕事はない。

そしてもちろん、人の役に立つのだから、ちゃんと働いていれば、中卒の土方でもどんな職業でも、最低限は喰える社会にすべきだ。

http://d.hatena.ne.jp/sirouto2/20071230/p4

心情的には大いに賛同。でも、その「べき」を実現するにはどうすればいいんだろう。

経済はド素人だが、素直に考えれば、人の賃金はその人が産み出す利益の額以上にはならない。そして、ある人の産み出す利益が、その人あるいは家族が食えるだけの大きさになるという保証はない。とくに、グローバル化の進む昨今、圧倒的に生活コストが低い国の人達でも出来てしまう仕事は、そちらのスケールにあった賃金になってしまう。

これを是正して、無理に市場をゆがめれば、日本自体の競争力が落ち、底辺はさらにずぶずぶになるのではないか?

高校進学率が九割以上、大学進学率が五割近くあるが、大学まで進学してフリーターやニートになるのでは「学歴の無駄遣い」ではないか。従って、詰め込みかゆとりか、といったことではなくて、多様性を産む教育が必要になる。縦の階層を横の多様性に変換する必要がある。(略)

現在の教育システムを有体に言うと、学歴ブランドによる階級選別装置の機能が主になっている。しかし、産業が高度化・複雑化*4した現在、学歴という単一の物差しだけで振り分けるのは非効率だから、技能という複数の物差しにチェンジしていこう、という話だ。

http://d.hatena.ne.jp/sirouto2/20071224/p2

id:sirouto2さんは、教育と適性の活用を説く。全体の生産性を上げることや理不尽な不平等の解消には役に立つ有効な施策とは思うが、前述の問題に対する解にはなっていない。

じゃあどうするんだといって、よい解があればまともなエントリになるところだが、残念ながら持ち合わせていない。ただ、グローバル化をよしとするのであれば、その延長上の施策は、

「食えない人は、生活コストが低い国に移住してもらう」

と言うことになるのではないか。これがいいとは思わないが、グローバル化ってそういう事ではないか。